個人再生の事例
こんにちは。ひかり司法書士法人福岡オフィスの長澤です。
今回は、住宅を手放したくない方の借金解決の流れについて具体的に話をします。
相談者は会社員で、奥さんと、小学生と中学生の子供が2人の4人家族。
収入が約450万円でしたが、住宅ローンが2000万円、クレジットカードやその他の借金が600万円程度ありました。
毎月の家計を見ると、収入が手取り30万円、住宅ローンの支払いが9万円、借金の返済が15万円、生活費が10万円だったため、毎月4万円の赤字になっている状態で、確かにこのまま支払っていくのは厳しい状況で、債務整理を検討しようということになりました。
債務整理には、大きく分けて3つ、任意整理と自己破産、個人再生という手続きがあります。
任意整理は裁判所を使わずに司法書士が直接債権者と交渉する手続きであるのに対し、他の2つは裁判所を使う手続きです。
相談者の希望は、裁判所はなるべく使いたくない、借金も払えるなら払いたいというものだったので、まずは任意整理を検討しました。
任意整理をした場合、債権者と交渉すれば、借金の返済が月15万円を10万円程度に下げられる予想でした。そうすると家計は1万円程度の黒字にはなりますが、これから子供が中学生、高校生になることを考えると、将来的に支払えなくなる可能性が高く、現実的ではない方法でした。
そこで裁判所を使う自己破産と個人再生を検討しましたが、相談者はマイホームだけは手放したくないという希望を持っていました。
自己破産の場合、借金は全てなくなりますが住宅は売却するしかなく、家族全員がそれだけはやめてほしいという意向でした。
そのため、個人再生を検討することにしました。
個人再生にも住宅資金特別付個人再生というものがあり、一定の要件をクリアしていれば住宅ローンだけはそのまま支払いを続けながら、その他の借金を減額して原則3年間の分割で支払えば、住宅ローン以外の借金はなくなるというものです。
この相談者の場合、600万円の借金が約120万円になり、月の支払い金額も15万円から3万5千円になると予測できました。
そうすると、住宅ローンや生活費を支払っても手元に7万円程度は残る計算になったため、このまま子供が中学生、高校生になって学費が増えたり、臨時の出費があったりしても対応できる家計になります。
そのため、この相談者からは、個人再生でお願いしたいということで書類作成の契約をすることになりました。
ただ、個人再生は3年間しっかり遅れずに支払っていけることが必須になるため、本人だけでなく奥さんにもこの制度を説明し、無駄遣いをしないようにすることを約束していただきました。
その後、裁判所での手続きも無事に終わり、3年間の支払いの最中ですが、このまま順調に進めば2年後には借金の返済も終わり、余裕のある生活が送れるかと思います。
マイホームを購入した方は、債務整理をすれば家が必ず売られてしまうと勘違いされて、なかなか相談に来ないこともあります。しかし、家を守ることができる手続きもあるので、早めに相談することをお勧めします。
逆に相談せずに一人で無理に支払いを続けていたり、支払いが遅れて強制的に売却されたりすることもあります。
ひかり司法書士法人は、相談者の意志や希望をしっかり聞いて寄り添っていくので、早めに連絡をもらえればもらうだけ、より良い対応をとることができます。
悩んだらすぐご相談ください。
2019年9月3日 | 司法書士ブログ / Posted: ひかり司法書士法人