ひかり司法書士法人・ひかり土地家屋調査士法人

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登記申請に添付が必要な株主リストのまとめ

こんにちは。ひかり司法書士法人の森田です。
今回は、株主リストについてお話させて頂きたいと思います。

1 株主リストとは
株主リストとは、当該会社の株主の氏名、住所、議決権数等の情報が記載された書面をいいます。株主名簿とは異なり、議決権数の記載が必要になりますので株主名簿で代用することはできません。
そして、平成28年10月1日以降の株式会社等の登記を申請する場合に必要となり、これより前に株主総会で決議した事項であっても添付が必要になります

2 株主リストが必要となった経緯について
そもそも株主リストの作成が必要になったのは、以前から株主総会議事録を偽造し、虚偽の役員に関する登記を行い、役員になりすまして、会社の財産を処分するなどの犯罪行為が横行していたことが背景にあります。それを防止するべく登記の真実性を担保し、もって会社の透明性を確保するため株主リストの作成が必要になりました。

3 添付が必要となる場合とは、どんな登記申請なのか
株主リストを添付書類として必要となる場面は、次の場合となります。

①登記すべき事項につき、株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合
②登記すべき事項につき、株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合

登記申請に、株主総会議事録の添付が必要な場合は、例外なく必要というわけではないことに注意が必要です。というのは、株主総会議事録を添付する必要ではあるけれども、株主リストの添付は不要という場面があるからです。
一つ例を挙げると、新株予約権の行使された場合、資本金の額の変更登記が必要になります。その際、新株予約権を発行した当時の株主総会において、資本金として計上しない額を定めていた場合、それに応じた登記をするためには、当時の株主総会議事録を添付する必要になります。しかし、その場合当時の株主リストは不要です。なぜなら、新株予約権の発行の登記申請時にすでに株主総会開催の適法性が審査されているので、改めて審査する必要はないからです。
したがって、登記すべき事項につき株主総会の決議等が必要な場合と覚えるようにしてください。上記の例で言えば登記すべき事項は資本金の額等の変更であって、それについて株主総会を開催したわけではないことから、株主リストの添付は不要ということなります。
また、1回の株主総会で複数の議案を決議した場合、登記すべき事項をも複数になることがあります。その場合、原則として登記すべき事項ごとに、株主リストを作成しなければならないということになってます。
ただし、各議案を通じて株主の内容が変わらない場合は、株主リストにその旨を明記することにより、1通のみで足りるという取扱いになってます。
しかし、逆に言えば、各議案について議決権を行使できる株式が異なる場合には1回の株主総会であっても、株主リストを複数作成する必要がある場合が生じることに注意が必要です。

4 株主リストの作成における注意点

同族会社等判定明細書や有価証券報告書を利用する方法もありますが、ここではこれらを利用しない一般的な株主リストの作成方法を述べます。

記載内容
(1)議決権の上位10名の株主
(2)議決権の割合が2/3に達するまでの株主(議決権割合の多い株主から加算してい
く必要がある。)
のいずれか少ない人数の株主について、次の事項を記載したもの
①株主の氏名または名称
②株主の住所または本店
③株式数(種類株式発行会社は、種類株式の種類及び数)
④議決権数
⑤議決件数割合(株主全員の同意が必要になる場合には不要)

上場企業の場合は、株主が多数に渡り2/3に達するまでには、株主が相当数存在することから、(1)を設けることにより会社の負担を減らしています。
自己株主などの当該事項につき議決権を行使できない株主は除きますが(株主全員の同意を要する場合はそのような株主も含めた情報を記載する必要があります)、株主総会に欠席し、または議決権を行使しなかった株主は含まれる
いつの時点での情報が必要かというと株主総会開催時の情報を記載する必要があり、基準日がある場合は基準日の情報を記載する必要があります。
株主が死亡していた場合、
①株主総会開催時に死亡したことを会社が知らない場合は、死亡した株主を記載する。
②会社が死亡したこと知っていたが、相続人は知らない場合も死亡した株主を記載する。
③死亡の事実及び相続人を知っていた場合、株主名簿の書換の有無にもよりますが、原則として相続人の記載が必要となるというように複雑になります。
以上の事項と作成日、作成者を記載し、登記所届出印(会社実印)を押印する必要があります。記載された株主の印鑑は不要です。

5 誰が作成すべきか
作成者については、2つの基準を把握しておけば作成の際に役立つと思います。

①登記所に印鑑を提出している会社の代表者であること
かつ
②登記を申請する会社の代表者であること

ここでは②に注意が必要です。
すなわち、株主総会時と登記申請時で会社の代表者が異なる場合、一見株主総会時の代表者が作成者になるのではないかと考えられるが、登記申請時の代表者が当時の株主の情報を証明する必要があります。
次に合併、会社分割、株式交換、株式移転などの会社の組織を再編する場合、基本的には当該株主総会を開催した会社の代表者が証明する必要があります。
しかし、合併については、存続会社または新設会社の代表者が証明する必要があることに注意です。つまり、株主総会を開催した会社ではない別の会社の代表者が証明する必要があるということです。合併すると言っても法人格は別ですし、新設合併で関しては、株主総会が開催された当時まだ存在していない会社の代表者が証明することになるので違和感があるかもしれません。
しかし、合併の登記申請は、存続会社または新設会社の代表者がするので上記②の登記を申請する代表者という基準で考えれば、例外的な措置ではないことがわかります。

土地の境界について

ひかり土地家屋調査士法人の二宮です。

土地の境界についてお話したいと思います。
そもそも、土地というのは広くどこまでもつながりをもっているため、そのままの状態で、個人の所有権等の権利を認めるものとすると、どこまでがだれの権利なのかといったことが明確でなく、混乱のもととなってしまいます。そうした要請のなかから、土地を人為的に区画することになり、その区画された土地相互についての境目、つまり境界が生ずることになります。

ところで、土地について境界といった場合、2つの意義があります。ひとつは公法上の境界(不動産登記法上は筆界という)であり、もうひとつは私法上の境界です。

公法上の境界とは、筆(登記記録上の土地の個数の単位で、地番を付されて区画されたもの)を異にして隣接する土地の境目を意味します。A町1丁目1番の土地とA町1丁目2番の土地との境目はどこかということです。

この場合、各土地の所有者が誰であるかということとは関係ありません。したがって、この公法上の境界(筆界)の意義での境界は、国のみが定められるものであって、性質上、最初から客観的に定まっていて、関係当事者の合意によって決まるものではないのです。公法上の境界について争いが生ずれば、筆界特定手続きによるか、さらには裁判所における境界確定の訴えによって解決することになります。

これに対し、私法上の境界とは、土地の所有権の範囲の問題であり、隣接する土地の所有権の境目を意味します。(所有権界ともいいます)
公法上の境界(筆界)と私法上の境界(所有権界)との関係を図によって説明しますと、甲地と乙地との筆界がイ、ロを直線で結んだ線とした場合、それが同時に所有権界の範囲と同じならば、筆界と所有権界とが一致していることになります。


しかし、土地の所有権は、1筆の土地の一部についても取得できますから、乙地の所有者が、公法上の境界を越えて、甲地の一部であるニ、ハを直線で結んだ線まで時効取得や一部売買等によって所有権を取得しているとすれば、不一致が生ずることになります。つまり、図においては、筆界はイ、ロですが、所有権界はニ、ハであり、それぞれ別になり、分離することになるのです。

大部分の場合、筆界と所有権界は一致しております。しかしながら、上記の通り過去に一部売買等の経緯があったが、当時、契約書等の取り交わしもせず、また、当該権利の移転について登記記録に反映させていないまま、過去の売買契約の事実を知らない者同士が土地を継承した後境界確認行うと、認識に相違が生じトラブルの原因となります。例え親族同士であっても、親、子、孫と代が変わる事により、不動産と同時に過去の事実も継承されれば良いのですが、実際には上手く継承できていないものです。

このような事から不動産について権利の移転が発生した時には、登記記録に反映させておく事が一番です。最低限、契約書面に図面等を添付し、明示しておく必要があります。

取締役会非設置会社の代表取締役の地位のみを辞任する場合

お客様から会社の代表取締役を交代される商業登記のご依頼頂きました。

取締役会非設置会社の法人様で、現代表取締役は代表取締役のみを辞任し、平取締役へ、また、現平取締役を代表取締役へ変更するというご依頼でした。

当初は辞任登記だから辞任届と新代表取締役を選任する株主総会議事録を法務局に提出しておけば良いと考えておりましたが、それは取締役会設置会社の話で、今回の事案のような取締役会非設置会社においては「取締役と代表取締役の地位の一体化」という一般的には聞きなれないような内容が論点となる手続でした。

この事案は、現代表者を選任した方法により法務局に提出する書類は3パターンに分けられます。

  1. 定款の定めに基づく取締役の互選によって代表取締役を選定した場合
    取締役と代表取締役の地位は一体化していないので、代表取締役の地位のみを辞任することができます。
    よって、代表取締役からの辞任届が必要書類になります。
  2. 定款又は株主総会決議によって代表取締役を選定した場合
    取締役と代表取締役の地位が一体化して、定款又は株主総会決議による会社の一方的意思表示により定められているため、代表取締役の辞任届のみですることはできません。
    再度、定款変更又は株主総会の承認が必要になります。
    よって、定款変更を決議し、又は辞任の承認を決議した株主総会議事録が必要書類になります。
  3. 取締役各自が会社を代表している場合
    取締役と代表取締役の地位が完全に一体化しており、法律上当然に取締役が代表権を有しているため、定款変更を行わない限り、代表取締役の地位のみの辞任をすることはできません。

今回、法人様の定款を確認させて頂いたところ②のケースでしたので、現代表者様の辞任を株主総会決議で承認し、新代表者様を選任する手続きを行い、代表者取締役を交代させる登記を完了させることができました。

商業登記をご依頼頂く際には、登記簿で法人の役員構成を確認するだけでなく、法人のルールを定めている定款も確認することが必要であると改めて感じさせられたご依頼でした。

相続による負債・親族トラブルを避けるには・・・

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測量とは? 測量ってどんな事をしているの?

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