経済天気図 ~違和感のある退職金~
3/29付の京都新聞 経済面「経済天気図」にグループCEO光田の執筆が掲載されました。
ご一読ください。
他人の懐を覗くのは趣味ではないが、たまたま地方自治体の首長の退職金について調べる機会があった。とはいえ、京都府や京都市の場合、ホームページで公開されているので調べることは容易い。
府知事で約4000万円、市長で約3500万円の退職金が支給されているが、日頃の激務に対する慰労の対価として、あるいは長年の行政に対する貢献の対価として決して高いとはいえない金額である。しかし、後継者にバトンを渡して名実ともに引退する際であればともかく、その金額が任期ごとに支給されると聞いて少々驚いた。つまり、3期12年勤めると1億円を超える退職金となるわけである。
そもそも退職とは文字通りその職から退くことであるから、任期ごとに選挙の洗礼を受けるとはいえ、同じ職位にとどまる限り本来の退職とはいえまい。したがって、任期ごとの退職金支給については違和感を拭えない。
そこで、この違和感を払拭するべく首長の退職金を減額ないし制度を改廃した自治体も少なくない。大阪府をはじめ大阪市や堺市、そして名古屋市などにその例を見ることができる。
一方、民間の事業会社でも役員退職金を廃止する動きはある。ただ、廃止と言いつつ、退職時の業績予想が難しい中、退職金に代えて現役時の報酬を上乗せしておこうという下心が透けて見えるケースも多く、あまり感心しない。
本来、引き際は自らが決め、退職金は他者が評価して決めるものであり、条例やお手盛りで安易に決めるものではないはずである。
(ひかり)