小規模企業共済のご紹介
ひかり会社設立サポーター、税理士の山下です。
今年も所得税の確定申告時期が過ぎました。
皆さんの中には、昨年開業され、今回はじめて確定申告を行ったという起業家の方もいらっしゃるかも知れません。
開業前の想定よりも売上があがらず赤字になった方もいれば、順調に事業が軌道に乗り、思いがけず多額の納税をすることになった方もいらっしゃることでしょう。
いずれの場合にも、個人事業として起業したからには、これまでのサラリーマン時代のように業績が悪くても給与・賞与が支給されることはなく、自分の生活資金は自ら稼がなくてはなりません。
退職金制度についても同じことが言えます。
相応の規模の企業の従業員であれば退職金制度があり、一定期間以上の勤続年数があれば退職時には退職金を貰えることが多いです。
しかし中小企業の社長や個人事業者にとって、自分たちで退職金制度を整備し、将来の退職金支給のために積立資金を運用することは非常に困難と言えます。
そのような中小企業の役員や個人事業者の方々のために、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運用する小規模企業共済という制度があります。
これは常時使用する従業員が20人以下(卸売業・小売業・サービス業の場合は5人以下)の中小企業の役員または個人事業主を対象とする退職金の積立制度であり、毎月の掛け金を1,000円から70,000円の範囲で自由に設定・変更をすることが可能です。
税務面において、当制度の最も重要な特徴は、積み立てた掛け金については、全額が所得税を計算する際の経費になる、つまり所得税を節税することができるということです。
冒頭に述べたように、個人事業の事業所得が大幅な黒字となり、多額の納税が必要な場合でも、例えばこの小規模企業共済に月額70,000円で加入し、年間840,000円を積み立てた場合、所得税の税率が40%の方であれば、840,000円×40%=336,000円もの所得税を節税することができるのです。
もちろん、事業経営を長年続けていく中で、時には経営が厳しく毎年840,000円もの掛け金を積み立てることが難しい期間も出てくるかもしれません。しかし掛け金は最低月額1,000円まで変更することが可能ですので、そのような期間は掛け金を低く設定し、業績が回復すれば再び掛け金を増額することも可能です。
また解約返戻金のある生命保険などと同じく、積み立てた掛け金の一定の範囲内で、貸付を受けることも可能ですので、必要な場合には一時的に資金を調達することもできます。
そして将来の退職時には、一時金(一時所得)または年金(雑所得)という形で積み立てた掛け金を受け取ることができますが、いずれの場合も所得税の計算において税負担が軽くなるよう優遇されている点も大きな特徴です。
加入条件さえ満たせることができるのであれば、加入することで多くのメリットを享受することができる共済制度ですので、起業家の皆さんもぜひ一度、加入を検討してみることをお勧め致します。
■参考サイト:独立行政法人中小企業基盤整備機構の小規模企業共済ホームページ
http://www.smrj.go.jp/skyosai/