印紙税について
おはようございます。ひかり会社設立サポーターの岸本です。
昨日から急に寒くなり、私もようやくコートを着て通勤するようになりました。みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
さて、先日、私が担当している顧問先様に印紙税の調査が入り、その際に改めて印紙税について調べてみましたので、印紙税について触れてみたいと思います。
1.印紙税の歴史
印紙税とは、そもそも、どのような背景で誕生し、どのような歴史があるのかを調べてみますと、1624年オランダにおいてヨハネス=ファン=デン=ブルックという税務職員が考案したものとされています。その当時、スペインの一部であったネーデルランド諸州(現在のオランダ)はスペインからの長期の独立戦争で財政が窮乏していたため、国民には重税感を与えずに税金を取るためにはどうすればよいかと考え、その課税方法のアイディアを募集したところ、採用されたのが彼の考案した税金だったのです。要は戦費を稼ぐための税金としてスタートしたのでした。印紙税は、他の税金に比べて国民の重税感も与えず、導入が容易であったため、一世紀も経たないうちにヨーロッパ中に広がりました(このことは、アダムスミスの『国富論』にも記されているそうなので、興味のある方は是非お読みください)。そして、日本には1873年(明治6年)に採用され、現在に至っており、平成26年度収入予算では全体の2%程度ですが1兆円の収入を見込んでいる、重要な国家財源の一つであるのです。
2.印紙税の課税根拠
印紙税とは、『印紙税法別表第1に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項を証明する目的で作成されたもののうち、「非課税文書」に該当しない文書』に対して課税される税金です。法人税や所得税は、所得=儲けに対して課税されるのでその課税根拠が理解し易いですが、印紙税は形式的に定められた契約書や領収書等の、言わば紙切れに対して課税されているのです。「経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める」と、内閣総理大臣であった小泉元首相が国会答弁の際に述べた発言が印紙税の建前上の課税根拠になるのでしょうか。
3.印紙税と税理士の関係
我々税金のプロである税理士は、納税者である顧問先様の租税に関して「税務代理権限証書」を税務署に提出することにより税務代理人となり税務申告や税務調査の対応をさせていただいておりますが、印紙税については税務代理人となることはありません。これは、税理士について規定されいる税理士法の第2条(税理士の業務)において、『税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税等を除く)に関し、次に掲げる事務(税務代理、税務書類の作成、税務相談)を行うことを業とする。』とあり、法律上、印紙税を税理士の業務範囲外としているためです。換言すれば、印紙税は我々税金のプロが口出しできない税金なのです。
4.とはいえ…
誕生の歴史や課税根拠から見て、印紙税はその存在自体に理解し難い部分もあり、また、税理士も手が出せない、課税当局側から見ればおいしい税金ではありますが、現行の税制上、『印紙税法』という法律に基づいた日本の国税です。課税は課税としてルールに従って正しい納税(貼付)を行いましょう。
昔々、印紙税の調査があった際にお世話になった国税OBの税理士の先生がポツリと漏らされた言葉が忘れられませんので、その言葉を今回のブログの締めとさせていただきます。
「こんな税金、何故あるのか私にもわからん。消費税が導入された時になくせばよかったのに‥‥‥。」
・参考ホームページ
国税庁HP.『印紙税の手引き』