未成年者を取締役に選任することの可否
こんにちは
司法書士の安田です。
役員変更の依頼をされたら、新取締役が未成年者だったということがありましたので、このテーマにしてみました。
結論からいいますと未成年者であることは取締役の欠格事由に該当しないので取締役になることができます。
ちなみに取締役の欠格事由は以下の通りです。
1.法人
2.成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
3.会社法、中間法人法等に定められた罪によって刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者
4.会社法331条1項3号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(ただし、刑の執行猶予中の者はこれに当たらない)
民法では未成年者がした法律行為については取り消しうる行為となるのに、会社法では会社を代表して法律行為を行う取締役になれるのはなぜかと思いますが、未成年者が取締役になるには親権者の同意が必要になってきます。
民法でも親権者の同意を得てした法律行為は完全に有効な法律行為として扱われますので、親権者の同意が必要になってきます。
それでは、未成年者であっても5歳の子供でも取締役に就任することはできるのでしょうか?
未成年者であることは上記の取締役の欠格事由には該当しないので、就任できるような気もしますが、さすがに5歳で取締役にはなれないだろうという気もします。
答えは意思能力を有しない者は取締役になることができないので5歳の子供が取締役に就任することはできません。
意思能力を有しない者がした法律行為はすべて無効になるため、取締役に就任しても何の法律行為もできないからです。
一般的に10歳以上であれば意思能力は認められるとされているので、10歳以上であれば、取締役の就任が認められることがあるようです。
ただし、10歳以上であって、意思能力を有していても、代表取締役や取締役会を設置していない会社に取締役として就任することはできません。なぜなら、その就任登記には、添付書類として印鑑証明書が必要になるのですが、役所で印鑑登録ができるのが15歳以上からになるので、取締役に就任することができないのです。
2013年8月5日 | 司法書士ブログ / Posted: ひかり司法書士法人