地役権(ちえきけん)とは

今回のブログでは、『地役権』についてご紹介したいと思います。

そもそも『地役権』とは、一般的に、一定の目的のため他人の土地を自分の土地のためにに使うことができる権利です。この時、利益を受ける土地(自分の土地)の事を『要役地』といい、負担を課せられる土地(他人の土地)を『承役地』といいます。

地役権といっても、『通行地役権』や『眺望地役権』、また高圧線(電線)下にお住まいの方は、電力会社と契約し、建物の高さを制限する地役権を設定されていらっしゃる(承役地となっている)方も多いと思います。

例えば、他人の土地を通行しなければ、公道等から出入りできない場合(いわゆる袋地)等にお住まいの方が、上記問題の解決策の1つとして、『通行地役権』というものがあります。その他の解決策として、その土地について賃貸借契約等の債権契約を締結しても目的は達せられますが、その場合(賃貸借契約の場合)は原則として、賃借権者(借り手)の独占的利用になるのに対し、通行地役権を設定すれば、その土地の地役権者(他人の土地を利用する者)のみならず、地役権設定者(自己の土地を利用されるもの)も通行でき、さらに第三者との間で重複して設定する事も可能です。したがって、この権利は共有権的な性格をもち、2つの土地の利用を調節する機能をもっています。

同じような権利として、『袋地通行権』がありますが、袋地通行権が袋地所有権の内容として、法律上当然に認められるのに対し(民法第210条)、通行地役権は原則的に、当事者の契約によって成立し、その内容も当事者の意思によって定められます。ただし、その効力は、相隣関係における公の秩序に反しない内容に限られるものとされています(民法280条但書)。

通行地役権は、性質上、要役地の所有権に従属(付従性)しているものの、要役地所有権とは別個の権利として扱われ、民法第177条により、原則として登記をしなければ第三者に対抗(主張)できず、登記が問題とならない袋地通行権とはこの点においても異なります。なお、通行地役権の成立について、他に通路があるかどうかは無関係です。

上記の通り、地役権(通行地役権を含む全ての地役権)は付従性をもつ性質ですので、地役権だけを譲渡したり、抵当権に入れたりすることはできません。すなわち、地役権だけが権利の目的となることはありません。つまり、地役権は要役地と一体となって存するものなので、要役地の所有権が移転すると、当然地役権も一緒に移転します。また、要役地が抵当権の目的となれば、当然地役権も含まれます。

地役権の登記は、不動産登記記録の権利部に登記しますので、司法書士が代理申請をする事になりますが、登記申請の際、法定添付書類として、地役権図面というものを添付します。

地役権図面とは、承役地のどの部分が地役権の目的となるものなのか、図面にて表示するもので、地積測量図等の作成と比較すると簡単な図面ですが、普段からそのような類の図面を作成する事に慣れていない方々にとっては難易度があがる場合も多々あります。

地役権設定登記の様な、司法書士が代理申請する登記の中でも少し変則的な申請についても、司法書士・土地家屋調査士の合同事務所の強みを生かす事ができ、迅速・丁寧・正確な対応が可能です。