シリーズ『管理会計入門』(4)変動損益計算書③
みなさん、こんにちわ。
ひかり会社設立サポーター、税理士の山下です。
シリーズ『管理会計入門』、第4回目の今回は、前回の売上・費用(変動費・固定費)のグラフをもとに、損益分岐点売上高の算出方法について記載します。
まず、前回において、売上・費用を図式化した以下のグラフについて解説しました。
売上高については、売上数量に比例して金額も増減します。
変動費についても、売上数量に比例して金額も増減します。
固定費については、売上数量に比例せず、毎月一定の金額が掛かります。
そして売上高と費用(変動費+固定費)が交わる点の売上高を損益分岐点売上高と言い、売上高がこの損益分岐点売上高を上回れば黒字、下回れば赤字になります。
それでは、この損益分岐点売上高はどのように求められるのでしょうか。
いま、例えば以下の会社があったとします。
この会社の今月の成績は、単価1,000円の商品を2,000個販売したことから、売上高は200万円でした。
そしてその商品の仕入高は単価600円で、個数は同じく2,000個でしたので、変動費は120万円でした。
また給料、家賃など、月額の経費(固定費)が合計70万円掛かりました。
その結果、売上高-変動費-固定費=10万円の利益が残りました。
結果的には2,000個を販売したことで今月は利益を残すことができましたが、それではこの会社の場合、売上がいくら以上、すなわち販売個数が何個以上であれば黒字で、何個以下であれば赤字になるのでしょうか。
損益分岐点売上高は、これまでに解説した売上高、変動費、固定費から算出することができます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ ( 1- 変動費÷売上高 )
先ほどの会社の数字を上記の算式に当てはめてみると、
損益分岐点売上高 = 700,000 ÷ ( 1- 1,200,000÷2,000,000 )
= 700,000 ÷ 0.4
= 1,750,000
となり、損益分岐点売上高は175万円となります。
上記の会社の例では、商品の販売単価が1,000円ですので、1,750,000÷1,000=1,750個以上の販売で会社が黒字になることがわかります。
この会社は、2,000個を販売し、売上高は200万円でした。
損益分岐点売上高の175万円を超える売上があったので、黒字になったわけです。
次回は、この損益分岐点売上高の考え方をもう少し応用し、仮の上記の会社が「利益を100万円残したい」と考えた場合には、いくらの売上が必要か、といった内容について解説します。