シリーズ『資金繰り表の作リ方』 (4)財務収支の部

こんにちは ひかり会社設立サポーター、税理士の山下です。

シリーズ「資金繰り表の作リ方」、4回目である今回は、財務収支の部の作成方法およびその意味について記載致します。

資金繰り表
上記の資金繰り表のうち、下半分が財務収支の部であり、「財務支出」「財務収入」から成り立っています。記載内容としては、それぞれの項目の通りですが、「財務支出」については、借入金の返済や割賦・リース料の支払いなど本業により支払われた現金について、「財務収入」については、借入金や増資によって入金された現金について、それぞれ記載されることになります。

 

財務支出の検証のポイントとしては、借入金やリース料の返済額が、経常収支すなわち本業で生み出されたお金(前回記事を参考)の範囲内で支払われているかを把握することが重要になります。

つまり資金繰り表においては、前月繰越金(当月初の現預金残高)と次月繰越金(当月末の現預金残高)の増減要因を、本業部分(経常収支)の入出金と本業外部分(財務収支)の入出金とに区分して記載されることになります。

資金繰りが正常に推移している企業においては、本業部分で生み出されたお金を使って、本業外部分の借入金やリース債務を返済するため、経常収支がプラスになり財務収支がマイナスとなります。 逆に、資金繰りに窮している企業においては、本業部分で失われたお金を、本業外部分の借入金などで補填するため、経常収支がマイナスになり財務収支がプラスとなります。

もちろん業種によっては売上に季節変動がありますから、単月ベースで見た場合には、売上の低調な月には経常収支がマイナスとなる期間もあるでしょうが、年間ベースでは経常収支をプラスにすることが、資金繰りの面から見た場合の会社経営上の最重要課題となります。

そして金融機関が企業に融資をするかどうかを審査する際に重要視する項目の一つが資金繰り表の経常収支でもあります。

つまり金融機関から見た場合、経常収支がプラスであればそれが返済の源資と言えますし、経常収支がマイナスであれば融資をしても赤字補填に使われるだけで返済の目処が立たないと判断できる訳です。

 

資金繰り表の作成については、慣れてくれば経理担当者でも容易に作成が可能ですが、会社の経営を行っていく上では非常に重要な資料でもあります。

会社の月次業績を判断する際には、会計ソフトから出力される試算表だけではなく、必ず資金繰り表によってお金の入出金の状況も確認するようにすることが大切です。

 

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