シリーズ『経理業務の効率化』 (5)会計ソフト・仕訳辞書の活用
こんにちは ひかり会社設立サポーター、税理士の山下です。
シリーズ「経理業務の効率化」、5回目である今回は、第2回に掲載しました〔経理業務効率化のためのチェック項目〕のうち、以下のチェック項目について記載いたします。
□ 手書きの伝票や帳簿をつけてから会計ソフトに仕訳入力している。
□ 会計ソフトの入力は、日付・勘定科目・相手先・金額・摘要を1件ごとに入力している。
上記のチェック項目に当てはまる場合、伝票・帳簿および会計ソフトの運用方法を見直してみましょう。
まず、伝票や帳簿を手書きしてから、同じ内容を会計ソフトで仕訳入力している場合には、完全に業務がダブっており、無駄な作業をしていることになります。
伝票や帳簿への記入をせずに請求書や領収書からダイレクトに会計ソフトに入力しても問題はありません。どうしても社内決済の関係などで伝票や帳簿を紙で残しておきたい場合でも、会計ソフトから伝票・帳簿の印刷機能がありますから、そちらを使用するようにしましょう。
また会計ソフトに仕訳入力をする際に、日付・勘定科目・相手先・金額・摘要を1件ごとに入力している会社も多くみられます。その会計ソフトに精通している経理社員はよく使う勘定科目コードなども暗記しているため、素早く入力することが可能ではありますが、逆に言えばその経理社員以外はその会計ソフトを素早く入力することができないことになります。 そこで設定しておくべきなのが会計ソフトの仕訳辞書機能です。
そもそも会社の取引は、ほとんどが毎月同じ相手先と同じ取引を行っていることが多く、月が変わっても金額が変わるだけで同じ仕訳を入力していることが大半です。家賃やリース料などは金額まで毎月同じという場合も少なくありません。
ですので、これらの取引を仕訳辞書に予め設定しておけば、次回からは仕訳辞書の一覧から該当する取引をクリックするだけで、勘定科目・相手先・摘要を自動入力することができ、後は日付と金額を入力するだけで仕訳入力を素早く完了させることができるようになりますし、経理や勘定科目などの知識に精通していないパート社員等でも仕訳入力をすることができるようになります。
なお、会計ソフトを運用する際のもう一つのポイントとして、「勘定科目はできるだけ増やさない」と言うのも重要です。 勘定科目をいたずらに増やしても、仕訳入力する側もとまどってしまいますし、少額な経費科目が増えたところで、財務分析上もあまり意味が無いことも多いです。 決算書を見て、費用全体の数%にも満たない勘定科目がある場合には、他の科目と統合できないか、また雑費として処理できないか検討しましょう。