シリーズ『管理会計入門』(7)目標売上高算出の流れ
みなさん、こんにちわ。
ひかり会社設立サポーター、税理士の山下です。
シリーズ『管理会計入門』、第7回目の今回は、前回までに記載してきました内容に基づきまして、会社を設立した際の業績計画試算方法の基礎として、経費の見積もりから必要利益額の算定、そして目標売上高の算定までの一連の流れについて記載します。
まず、これから起業しようとしている方について、1期目の経費(固定費)が以下の様に見込まれているとします。
上記の表から、この会社については、商品1個あたりの売上高1,000円に対して変動費(仕入高)が600円であり、限界利益は400円(限界利益率40%)と見込まれています。
金額についてはこれから目標売上高を算出するため空欄となっています。
また年間の固定費として1,600万円が必要と試算されました。
ですので、売上高から変動費を引いた限界利益(≒売上総利益)が1,600万円あれば、この会社は損益計算書上は赤字を出さなくて済みそうです。
ただし、創業するにあたって融資を受けるといった場合には、その返済にあてるお金も稼がないといけませんでしたので、必要利益の分は利益を出さなければなりません。
今回の会社の場合、創業時の設備投資が1,000万円で、うち400万円は資本金や社長からの借入金で調達し、残り600万円を銀行から融資を受けることにすると仮定します。
上記により、損益計算上では減価償却費として100万円が計上されますが、実際には借入金返済額が120万円必要ですので、差額の20万円を利益で残さなければなりません。
この場合の年間の必要利益(税引前利益)としては、前回に記載した以下の公式により、
必要利益 =( 借入金返済額 - 減価償却費 )÷( 1 - 法人税率 )
=( 120万円 - 100万円 )÷( 1 - 30% )=285,714円
となります。
そして、第5回目に記載したとおり、目標売上高を算定するには、以下の公式を使います。
目標売上高 =( 固定費 + 必要利益 ) ÷ ( 1- 限界利益率 )
=( 16,000,000 + 285,714 )÷( 1 - 40% )
=27,142,856円
ということで、この会社の1年間の目標売上高は27,142,856円、売価が1個1,000円ですので、目標販売数量は27,142個となりました。
ただし、上記はあくまで会社の経費や必要利益の観点から理論上算出した目標売上高となりますので、もちろん実際にそれだけの単価・個数で販売可能かも検証しなければなりません。
もし上記の店舗規模(従業員数)や景気の状態などから、上記の目標売上高の達成が困難であれば、逆に達成可能な見込売上高と限界利益を算出し、上記の理論上の売上高や限界利益との不足分については、再度固定費を見なおして削減できる箇所が無いかを調整していくという流れになります。
なお実際には、上記以外にも売掛金や買掛金など、請求のタイミングと実際の入出金のタイミングがずれること等も考慮に入れて、創業時の業績計画や資金計画を試算していくことになります。
ひかり会社設立サポーターで起業される場合、お客様との打合せを通じて、こうした創業時の業績計画を予め試算しておき、実際の起業後には、毎月の実績数値と比較分析することで、当初の計画通りに事業が進んでいるか、差異の発生原因は何か、またその対処法はどうすれば良いか、と言ったことについてご説明をさせて頂いておりますので、起業をお考えの方はお気軽にひかり会社設立サポーターまでご相談下さい。