源泉徴収の光と陰
3月23日 京都新聞経済面「経済天気図」にグループCEO光田の執筆が「ひかり」ペンネームで掲載されました。
ご一読ください。
今年も確定申告のシーズンが終わった。この恒例の季節行事によって国庫に納められる申告所得税は2016年度予算ベースで3兆円ほどである。所得税全体の税収が約18兆円と見込まれているから、そのウェイトは案外小さい。
では、所得税収の大半を占めるものは何か。それは源泉所得税である。わが国には約4500万人のサラリーマン、つまり給与所得者がいるが、彼らの給与から天引きされている源泉所得税は10兆円を超える。
さらに配当から約4兆円、低金利時代を反映して利子からは4千億円程度が源泉徴収されている。いずれにせよ、確定申告が季節の行事として話題にはなるものの、国庫にとって大事なお客さんはサラリーマンなのである。
それにしても、源泉徴収という仕組みはよくできている。そもそも、天引きされているので、担税感や痛税感が生まれにくい。その一方で徴税には大きな漏れが生じないので、徴税コストが低い。 制度導入が1940年、当時の戦費調達のためであったと聞けば、納得である。ちなみに、米国も同様の理由で43年に導入している。
それはともかく、源泉徴収制度には光だけではなく影もある。税制に対する関心がそがれる結果、自分が負担している所得税を正確に知るサラリーマンは少数派である。また、東日本大震災から5年が経過したものの、復興特別所得税は2037年まで、まだ20年以上も給与から天引きされ続けるという事実を知る人も多くはない。