大人げない話
4月29日京都新聞経済面「経済天気図」にグループCEO光田の執筆が「ひかり」ペンネームで掲載されました。
ご一読ください。
大人げない、と思わざるを得ない話が尽きない。
過日、パロディー商品名の商標登録を無効とした特許庁の判断を取り消す判決が知財高裁で言い渡された。被告の高級ブランド時計メーカーは「語感が極めて似ている」「信用や顧客吸引力へのタダ乗り目的だ」などと主張していたが、判決では「被告商品の多くが100万円を超える高級時計であるのに対し、原告商品の価格は4千円から6千円程度の低価格時計で合って、被告商品とはその指向性を全く異にするものであり、取引者や需要者が双方の商品を混同するとは到底考えられない」と看破した。
このブランドはパロディーによって価値を棄損されたのではなく、パロディーを真に受けるという大人げない対応で値打ちを差下げた。
一方、大手流通グループに長期にわたって君臨したカリスマ経営者が自ら提案した人事案が取締役会で否決されたことを受けて、自身もすべての役職から退いたと聞く。そこに至る経緯について詳しく知るよしもないが、傍目には思い通りにならなかったのでサジを投げたとしか写らない。実に大人げない話である。カリスマ経営者のメッキが剥がれて男を下げた。
さらに、顧客を失うことを恐れて粉飾決算を看過し、金融庁から処分された公認会計士に至っては、大人げないどころか監査そのものに対する社会の信頼を大きく下げた。
大人げない行為を慎み、思慮分別を大事にすることこそが経済活動の原点であることを再確認したい。