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遺言書

特定目的会社

 突然ですが、みなさんは「特定目的会社」という会社をご存知でしょうか。私自身も司法書士実務に就くまでは全く知らない会社形態でしたので、初めて耳にされる方も多いのではないでしょうか?先日、「特定目的会社」について解説をする機会がありましたので、この機会にブログでもご紹介させていただきます。

 まず、大まかに特定目的会社(以下、「SPC(specific purpose company)」といいます。)の特徴を述べます。SPCは、資産の流動化に関する法律に基づき設立される法人です。SPC自身は利益獲得を目的とせず、出資を募り、または証券を発行して資金を集め、不動産などの資産を取得・保有することを目的とします。その他の業務は原則として行うことはできません。つまり、大規模な資産を流動化(=小口化・証券化)するためだけに利用されるペーパーカンパニーといえます。また、設立後、業務開始までに管轄財務局経由で内閣総理大臣に対し、資産流動化計画を添付した届出をする必要があり、この計画に基づく流動化が完了すれば、原則としてSPCは解散するという特徴もあります。さらに、SPCの取締役は、株式会社のそれと比較して欠格事由が広く、例えば取得する資産の原所有者(以下、「オリジネーター」といいます。)も欠格となります。

 SPCを用いた資産流動化のスキームは、簡略化すると次のようになります。
 ① SPCがオリジネーター(多くの場合はSPCの親会社)から資産を購入します。
 ② ①に必要な資金を調達するために、出資を受け、借り入れをし、社債を発行します。
 ③ 取得した資産が生み出す利益は、配当や利息の支払いという形で出資者や債権者に分配します。

 このように、オリジネーターにとっては、大規模な資産の売却が容易になると同時に、オリジネーターの所有資産から流動化対象資産を分離することで、自身が倒産した場合であっても、当該資産は破産財団に取り込まれる可能性が低くなるというメリットがあります。投資家にとっては、投資単位が小口化されるというメリットがあります。

 思いつくままに筆を走らせてしまいましたので、SPCについて理解していただくには不十分な説明であったかと思いますが、株式会社以外にも様々な会社形態があるということを知っていただければ幸いです。

 「会社設立=株式会社」という提案ではなく、依頼者の要望に応じて、設立する会社の形態を提案できるような司法書士になりたいものです。

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