公正証書遺言の有効性の判断について
こんにちは
司法書士の安田です。
公正証書遺言とは簡単にいえば公証人が作る遺言書のことで、被相続人だけで作る自筆証書遺言に比べれば、社会的な信用もはるかに高く判決と同等の真正さがあるとされています。我々も遺言を作りたいという方がいれば、公正証書遺言の作成をお勧めすることが多いです。
しかしながら、この公正証書遺言が無効であるとして争われるケースもあるのだとか。
問題になりやすいのが、認知症の疑いがある高齢の親に兄弟に内緒で遺言書を作成させるようなケースです。
公正証書遺言を作成するにあたり、特に相続人に対して許可や承諾を求める必要はないので、このような遺言書も作成されれば、その他の相続人はその遺言書に従わなければならないことになってしまいます。
公証人も法律のプロであるのですが、痴呆や認知症に関しては、判断するのが難しいところでもあり、遺言作成当時に意思能力がなかったにも関わらず遺言が作成されるということもありえます。
そのような遺言は無効ですが、一度成立した公正証書遺言を無効とするには遺言無効確認訴訟をしなければならず、また遺言書作成当時に意思能力が無かったという証明は無効を主張する側で証明しなければならないので、そう簡単にはいきません。
また、上記のようなケース以外にも法律上公正証書遺言の作成は公証人が作成するのですが、内容を遺言者から公証人に対して口授する必要があるのですが、実務上では公証人が内容を読み上げそれでいいか確認して「はい」と答えることにより成立しています。厳密にいえば口授していないので、無効となりますが、これで無効とすると実務上大変なことになりますし、判例でも、遺言者が真に内容を理解した上で答えていれば、口授がなくても有効であるとしています。
このように公正証書遺言であっても無効とされるケースも少なからずありますので、公正証書遺言に違和感を感じている場合には一度専門家の意見を聞いてみてもいいのではないでしょうか
2013年8月30日 | 司法書士ブログ / Posted: ひかり司法書士法人