確定申告のお話し
毎年この時期になると、確定申告をしなければ。という言葉を耳にします。
確定申告とは、所得にかかる税金の額を計算し納税するための手続きです。
個人の方の場合、1月1日から12月31日の1年間の所得を、翌年のこの時期(2019年は2月18日から3月15日まで)に税務署に申告する必要があります。
会社員の場合は年末調整を行っているので、通常は確定申告を行う必要はございません。
年末調整は毎月給与から概算の所得税を天引きし、年末に正しい所得税を算出して、足りない場合は追加で納付、支払いすぎている場合には還付される仕組みです。
還付の場合は臨時収入みたいでうれしい気分になるのですが、実は源泉徴収されている自分のお金が戻ってきただけなんですけどね。
通常であれば会社員の方は確定申告をしなくてもよいのですが、会社員でも確定申告が必要になる主なケースとしては次のようなものがあります。
- 給与収入が2,000万円を超えている
- 医療費控除を受ける場合
- ふるさと納税の納付先が6か所以上
- 不動産所得が20万円を超える場合
- 住宅ローン控除を初めて受ける場合
司法書士の仕事を行っていて、この中で良く聞くのが不動産所得の申告です。
日頃から不動産の売買に関わる仕事をしておりますので、お客様からも相談される機会があります。
不動産を売った場合に生じた所得に対しては、譲渡所得税という税金が課税されます。
簡単にいうと不動産を売却した金額から、購入した金額と経費を引いて差額があればその差額が譲渡所得として課税されるのです。
マイホームの売却であれば譲渡所得から3,000万円が控除されますので、譲渡所得税を納めるケースは少ないのですが、問題になるのがご自身が住んでいない不動産を売却するようなケースです。
代表的なものとして、相続した実家を売却する場合ですね。
この場合は、3,000万円のマイホーム控除を使うことができませんし、親が購入した当時の金額が分からなければ取得費が5%となってしまい、譲渡所得税も高額になってしまいます。
しかしそのような方にお得な制度もございまして、それが被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例というものです。
要件は色々とあるのですが、この特例を使うことが出来ればマイホーム控除と同様に、譲渡所得が最大3,000万円が控除されますので、収める税金が600万円近くも減額されることもあります。
以下に空家控除の要件を簡単に記載しますが、詳しくはお近くの税務署にお問い合わせくださいますようお願いいたします。
- 相続の開始直前に被相続人のみが居住をしていた家屋
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物(区分所有を除く)であること
- その家屋を相続又は遺贈により取得
- 相続の時から売却の時まで賃貸等、他の用途に使っていない
- 当該家屋を取り壊して更地にして売却(または耐震リフォームを行い売却)
- 相続の開始日から3年を経過する日の年の12月31日までに売却
- その売却代金が1億円以下であること
沢山の要件がありますね。
制度の概要としては、近隣に迷惑をかける恐れのある古い家屋を相続した場合、早めに建物を解体してから売却すれば税金をまけてあげますよ。といった感じでしょうか。
この特例があることにより、放置された空家問題の解消につながるのでしょうね。
また先日発表された、平成31年度税制改正大綱では、上記要件のうち被相続人の居住について変更になるようです。
現行の制度では、相続開始直前まで被相続人の居住の用に供されていることが要件でした。
このため、被相続人が老人ホームへ入所したまま亡くなった場合には、たとえ被相続人の自宅が空き家になっていてもこの特例を受けることができませんでした。
しかし、改正案では被相続人が老人ホーム等に入所していた場合でも、以下の追加要件等を満たす場合に限り、この特例を適用できるようになります。
①被相続人
- 介護保険法に規定する要介護認定等を受けていること
- 相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していたこと
②被相続人の居住家屋について、被相続人が老人ホーム等に入所したときから相続開始の直前まで
- 被相続人による一定の使用がなされていること
- 事業、貸付の用、被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないこと
また、上記の改正は2019年4月1日から2023年12月31日までに行う譲渡についての適用となります。
2019年2月28日 | 司法書士ブログ / Posted: otts