株券発行の定めについて
こんにちは
司法書士の安田です。
株券を見たことがあるでしょうか?
会社法施行前の旧商法においては株式会社は原則として、株券を発行することと定めていました。
しかし、会社法においては株式のペーパーレス化や中小企業における株券発行にかかるコスト削減のため原則として、株券を発行しないものとし、定款で定めることにより、株券発行会社となれるということで、原則と例外が逆転することになりました。
ただし、会社法が施行されたからといって勝手に株券発行会社にから株券不発行会社へ移行するわけではないので、会社法施行前の株式会社については謄本上株券を発行する旨の定めが記載されております。
これがどう影響してくるかといいますと、株券発行会社における株券の譲渡の効力要件は、譲渡の申込み承諾の意思表示と実際に株券の引渡しが必要になってくるのです。つまり謄本上株券発行会社で実際は株券不所持の申し出などで株券を発行していない場合には、一旦株券を発行し、引き渡さないと株式の譲渡の効力は生じないことになります。
中小企業の代替わりなどで、親から子へ株式を譲渡するような場合でも、ほとんどの場合株券発行会社でありながら、株券を発行していないので、贈与証書を書いただけでは譲渡の効力は生じません。
株券を発行すればいいのですが、いちいち発行するのは手間ですし、コストもかかります。ですので、いざ株式を譲渡したい時にそなえて株券発行の定めを廃止し、株券不発行会社になっておきましょう。
2013年5月31日 | 司法書士ブログ / Posted: ひかり司法書士法人