住宅ローンの滞納によるマイホームの競売・差し押さえが増加していることを受けて、このたび司法書士による任意売却相談専門サイトを立ち上げました。「任意売却 相談窓口サイト」は競売や任意売却の制度と手続きの基本をわかりやすく解説しておりますので任意売却についてよくわからない方、ひとりで悩まずにぜひご活用ください。

給与減少などにともなって、住宅ローンを滞納してしまい、マイホームを手放す人からの相談が増えています。一般的に金融機関は返済が3カ月以上滞ったローンを不良債権とみなし、その後も滞納が続けば、担保とする不動産の競売を裁判所に申請します。

住宅の所有者が、競売で不動産を手放す場合、市場価格より3~4割は安くなるといわれます。このため最近は、競売ではなく任意売却で不動産を手放す人が増えてきています。全体的に競売件数が減り、「任意売却」が増加しているのです。

その理由は、明確です。任意売却の方がメリットが多いからです。

競売は、債権者(金融機関や保証会社など)主導で不動産の売買が行われますが、任意売却は競売になる前に債権者の同意を得て、住宅所有者が自主的に不動産を売却する方法です。これにより、手持ちの現金の持ち出しがなく、住宅を競売価格よりも高く売却でき、引越し費用を手元に残せる可能性があるなどのメリットがあります。

しかしメリットの多い任意売却ですが、知識のある専門家に依頼し、パートナーとして任意売却を共に的確に進めることが必要です。今やインターネットで検索すれば、任意売却の行う専門会社、不動産業者、弁護士、司法書士などのホームページが検索結果としてたくさん出てきます。しかし、このパートナー選びを失敗すると、現実不可能な提案をして相手に期待をもたせて惑わせ、最終的には絶望することになってしまう、といったケースもあるようです。

そのような事にならためにも、当サイトでは、競売や任意売却の制度と手続きの基本をご自身で身につけるていただくための情報を掲載しています。

任意売却とは、競売とは

任意売却とは

住宅ローンなどの借入金が支払えなくなった場合、任意売却では借入先の銀行などの同意を得て、自宅を競売にかけることなく、不動産所有者(債務者)の意思に基づいて財産を売却できる。

売却価格通常の不動産売買と同じように売却するため、本来の市場価格に近い値段で売れる。市場価格、またはそれに近い価格になり、残債務の圧縮につながる。
残債務売却後の残債務は、任意売却に携わった専門業者と一緒に債権者と調整し、分割などの方法で返済する。債権者に柔軟に対応してもらえることも少なくない。

競売とは

不動産所有者が住宅ローンなど借入金の返済ができなくなった場合、債権者が裁判所に申し立てて住宅を強制的に売却し、債務を回収すること。

売却価格競売は入札者のほとんどが転売目的の不動産業者で、市場価格を大きく下回る価格で落札されることが多い。市場価格の3~4割ほど安くなる。
残債務強制的に支払いを迫られる場合もある。残債務を支払えなければ、破産などを考えるしかない。

競売の流れからみる任意売却のタイムリミット

住宅ローン滞納者に届く書類

住宅ローンを滞納すると、即競売ではなく、徐々に段階的に競売へ向かっていくことになります。まず、住宅ローンの支払いが遅れると、催告状が届きます。下の【住宅ローン滞納者に届く書類から見た任意売却のタイムリミット】をみてください。住宅ローンの滞納が続けば、届く書類の深刻さも増します。届く書類から競売の具体的な流れを知っておくことで、任意売却の相談を専門業者にいつまでにすればいいのかなど、適切な対応が可能となります。

住宅ローン滞納者に届く書類から見た任意売却のタイムリミット

※掲載している日程・内容は目安です。

【競売が回避可能な期間】
住宅ローンの滞納状態 住宅所有者の手元に届く書類 任意売却のタイムリミット
住宅ローンの滞納はしていない 滞納はしてないが住宅ローンの返済が苦しい 住宅ローンを組んでいる金融機関などに相談して、任意売却以外の選択肢もある。
住宅ローンの滞納
1〜5ヵ月
催告書/督促状

住宅ローンの滞納、1ヵ月目は金融機関から電話や書類により支払いのお願い通知が届く。滞納が2カ月以上になると、金融機関からの来店依頼状や督促状が送られてきます。

住宅ローンの滞納
6ヵ月
期限の利益の喪失

「期限の利益の喪失」とは、お金を借りた金融機関から分割での支払いをこれ以上待てない、という意味をもちます。
その時点での残債務(残しの借金)を一括で返済することを求められることもあります。

住宅ローンの滞納
7ヵ月
代位弁済通知

代位弁済とは、住宅ローンを滞納している債務者に代わり保証会社が、住宅ローン全額およびそれまでの利息の合計を、一括でお金を借りた金融機関へ返済することです。これにより債権は保証会社に譲渡され、保証会社が交渉窓口となります。

任意売却の相談が可能な期間。相談いただける任意売却の活動期間が長ければ長いほど有利な条件で売却可能になります。
【差し押えをされてしまうと、競売の手続きを止めるためには
債権者に、裁判所に競売の取り下げの申し立てをおこなってもらうことが必要。】
住宅ローンの滞納状態 住宅所有者の手元に届く書類 任意売却のタイムリミット
住宅ローンの滞納
8ヵ月
差押通知書

住宅ローンや税金の滞納が続くと、金融機関や役所などの債権者は裁判所に対して競売の申し立てをします。こうなると、担保となっている住宅の差し押えが行われ、裁判所からは「差押通知書」が届く。

任意売却の相談が可能な期間。任意売却の活動期間が長ければ長いほど有利な条件で売却可能。
住宅ローンの滞納
9ヵ月
競売開始決定通知書

この書類は、債権者(保証会社)が担保となっている住宅を競売にかけることを裁判所に申し立て、裁判所がそれを受理したことを知らせる書類。

競売へのカウントダウンが開始されます。ここまでくると任意売却を急ぐ必要があります。
配当要求終期の公告

配当要求終期の公告とは、競売開始決定がなされた住宅を、裁判所にて公開すること。競売開始決定から概ね2~4週間後に実施され、開示期間はおよそ1カ月。
公告は裁判所に掲示され、この掲示は債権者だけではなく不動産業者やその他さまざまな人達も見ることができます。これを見て営業にくる悪質な業者も存在します。

住宅ローンの滞納
10ヵ月
執行官による現況調査

競売開始決定通知書を受けてから1~2カ月ほど経つと裁判所執行官による現況調査が行われます。その調査結果を基に競売に関する詳細(価格など)が決定されます。

住宅ローンの滞納
13〜16ヵ月
競売の期間入札通知書

この通知書で具体的に、債務者の住宅がいつ競売になるかが通知されます。裁判所は1週間以上1カ月以内の範囲で競売の入札期間を定める。

競売の開札期日が1カ月を切ると、任意売却を始めようとしても難しいです。
期間入札終了後 任意売却は開札2日までは債権者の同意があれば可能。
それ以降は競売の落札者の同意が必要になる。それだけに任意売却ができる可能性は非常に低い。
住宅ローンを維持したいなら、「期限の利益の喪失」が重要な節目!

住宅ローン滞納状態のままで許される期間は、金融機関によって異なりますが、おおむね6カ月分です。この段階に進むと、状況は一変します。金融機関に「この人はもう返済できない」と判断され、「期限の利益の喪失」という書類が住宅所有者に届きます。借り手である住宅所有者が返済のルールを破ったことで、貸し手側も契約書のローンの返済方法は認めず、全額返済を求めてきます。

住宅ローンを維持したいならこれが最後のチャンスです。この時に指定された金額の返済が無理でも、「いくらなら返済できます」などと交渉すれば、待ってくれる可能性もあります。

競売開始が決定すると一般に告知される!

「住宅ローンの滞納9ヵ月」にある「配当要求終期の公告」は、とくに覚えておくことが必要です。「配当要求終期の公告」では、競売開始決定がなされた不動産を、裁判所にて公告します。この公告の意味は、官庁や公共団体が広告・掲示などで一般公衆に告知することです。公告は裁判所に掲示され、この掲示は債権者だけではなく不動産業者やその他さまざまな人達も見ることができます。これを見てアプローチしてくる悪質な不動産会社も存在します。DMが大量に届いたり、勝手に業者が家を見にきたりして、ご近所に聞き込みに回ることも。精神的にストレス溜まります。おいしい話を持ってくる業者には注意を!

任意売却の流れを知っておこう。

任意売却は専門業者に依頼することが大切です。

任意売却が成立するまでの流れやスケジュールは、通常での不動産売却と違い、任意売却ならではの特殊な部分も存在します。任意売却を進めるためには、その特殊な部分を理解しておく必要があります。

知っていただきたいのが、任意売却ができないケースもあることです。任意売却は、そもそも債権者への一括返済のために行うものですから、債権者の合意なしではできません。例えば、任意売却でも債権額を大幅に下回るような査定価格になると、任意売却自体を認めてもらえません。

任意売却の流れ

  1. まずは相談・お問い合わせください

    まずは相談。住宅ローンの滞納状況や残債務などの状況、現状を正しく把握します。

  2. 不動産価格の査定

    近隣の売り出し事例、成約事例、路線価格などを参考にして、物件の土地建物が実際にいくらで売れるのかを予測します。

  3. 媒介契約(不動産売買の仲介代理契約)

    任意売却を任せる証として、専門業者と不動産所有者(債務者)との間で不動産売買の仲介代理契約を結びます。

  4. 債権者との販売価格の交渉・配分交渉

    査定された価格をもとに銀行などの債権者と交渉を行います。債権者が複数いる場合は、どのように配分するかの調整なども必要となり、調整が難航するため、非常にデリケートな作業になります。

  5. 不動産の売り出し

    一般物件と同様に売却物件として広告活動をします。

  6. 任意売却成立

    住宅の購入希望者が現れれば、まずは買付証明を発行してもらいます。買付証明とはその不動産を購入する意思表示をする書類です。

  7. 配分案作成、抵当権などの抹消承認

    この買付証明を元にして、返済配当計画書を作成し債権者との交渉が始まります。返済配当計画書には売却価格と諸経費の明細を書き、売却価格から経費を除いた金額を債権者に配当することになります。この経費には、売却に関わる諸費用(仲介手数料、抵当権抹消費用など)、管理費等の滞納金やお客さまの引越し費用も含まれます。

  8. 不動産の売買契約締結

    債権者に返済配当計画書の同意を得られたら、住宅を購入される買主と売主(債務者)の間で売買契約を締結します。引渡しの時期(引越し)を事前に協議の上、締結します。

  9. 売買代金の清算と引渡し

    決済日には、売買代金の決済と同時に、債権者に抵当権の抹消や競売の取り下げをしてもらいます。売買代金の清算時に、引越し費用が債務者に渡されます。

  10. 引越し新生活スタート!

任意売却のメリット、競売のデメリット

任意売却におけるメリット、競売のデメリットみていきましょう。主に下記のような点が挙げられます。

ストレス
任意売却の場合

任意売却は通常の不動産販売と同様に一般市場で販売活動を行い、買い手を募集する。競売と違い情報が公開されないため、近隣住民にローンを滞納したことも知られずに済む。精神的な負担も少ないとされ、同じ町に住み続けることも可能。

競売の場合

「配当要求終期の公告」により競売物件情報が一般に公開された段階で、いろいろな業者からアプローチがあり対応に追われることに。住宅ローン滞納による売却であると広く知られる可能性。

売却価格
任意売却の場合

競売と比べ相場に近い価格での売却が見込め、その分、債務を減らすことができる。一般的に、任意売却の価格は市場価格の8~9割ほど。

競売の場合

競売では、裁判所が決定する基準価格は市場価格のおおむね3割〜4割安くなる。任意売却に比べて残債が多くなる。

期間
任意売却の場合

任意売却は、不動産の購入希望者がいつ現れるかにもよるが、法的な手続きに要する時間がないことで、競売より短期間で売却できる可能性が高い。

競売の場合

一般的に競売の差し押さえの申し立てをされてから期間入札の開札日まで、半年から8ヵ月程度の時間がかかる。

残債
任意売却の場合

任意売却をした後に残ってしまったローンの残債は、債権者と交渉することで、分割返済に切り替えることが可能。一般的な分割返済金額は、毎月5,000~30,000円前後といわれている。

競売の場合

競売だと残債務は、一括返済しか選択肢がないので、任意売却のほうがずっと経済的負担が少なくなる。

諸経費
任意売却の場合

売却代金のなかから、登記料や仲介手数料といった諸経費の支払いをすることが認められている。また引越し費用を売却代金から出してもらえる可能性もある。

競売の場合

相場として売買価格の約3~5%前後が、さまざまな費用として必要とされる。競売になってしまうと、諸経費や引越し費用はすべて自己負担となる。任意売却ならお金の持ち出しが不要になる。

引越し時期
任意売却の場合

債務者の事情を考慮して、引っ越し時期を交渉できる。

競売の場合

競売で落札した買主の決定に売主(債務者)は異議申し立てをすることはできない。居続けると強制退去を求められることもある。

上の表では、任意売却のデメリット(注意点)に触れていないので、簡単に紹介します。

  1. 競売と比較して、短期間に自宅から撤去しなければならないことが多い。
  2. 不動産所有者(債務者)が諸々の契約に関与しなければならない。
  3. 先に手数料などを払わせ、任意売却がうまくいかなくても返金しない悪意のある業者に引っかかることもある。

任意売却してもそのまま住み続けるという選択肢もあります。売却した相手に家賃を支払って同じ家に住み続けるという制度です。子どもの学校などの理由で一定期間は住み続けたい場合などに活用される例が多く、将来、買い戻すことも可能です。

任意売却では、売却価格は住宅所有者(債務者)の希望ではなく、債権者が納得して抵当権をはずしてくれる売却価格でなくてはなりません。それだけに、交渉の時間が必要です。1日でも早く任意売却に向けたアクションを起こせば有利になります。まずは"ひかり司法書士法人"へ相談ください。

任意売却の相談窓口はこちら